【レビュー】ジョージアと映画:葡萄畑に帰ろう(1)

最近、うっすらこっそりグルジア語(ジョージア語)を勉強している私だが、その一環でジョージア映画を観てみようと思い立った。


今回観たのは、Amazon Primeで見つけた「葡萄畑に帰ろう」(英語題 The Chair)である。

レンタル500円。


さて、Amazon Primeで無料で視聴できる他の数少ないジョージア映画を差し置いて、500円を払ってまで「葡萄畑に帰ろう」という映画を観たのにはささやかな理由がある。


葡萄畑というタイトルに惹かれたからだ。

これを説明するには、多少ジョージアという国の背景について述べる必要があるだろう。


ジョージアというのは北はロシア、南はトルコとアルメニア、東はアゼルバイジャンに接している、コーカサス地方の国である。


つまり、西洋と東洋、ヨーロッパとアジアが交差する地に位置する国だ。


国民の多数がジョージア正教を信仰しており、このことはキリスト教文化圏に属することを意味している。


Google photoやYoutubeや映画に映るジョージアは、アジアよりはヨーロッパ色が強い印象を受けるが、その主要因の1つは、おそらくこの宗教事情にあると思われる。


ところで、そのジョージアはまた、ワイン発祥の地としても知られる。

(この製法がまた大変興味深い!)

(参考にさせてもらいました)


ワインといえば、キリスト教文化において重要な飲み物だ。


というのも、ワインはキリストの血のシンボルだからである。

イエス=キリストはかつてこう述べたらしい。

「パンは我が肉、ワインは我が血」


このようなワインとキリスト教の繋がりは、ジョージアにおける深いヨーロッパ的伝統を理解する鍵の1つではないかと私は睨んでいる。


その上、ジョージアのナショナル・アイデンティティは言語、宗教及びワインだとどこかで読んだ。


それが本当であれば、フランスにおけるワインよりもはるかに深い国民感情に根差している可能性がある。


(フランス人にとってワインはとても重要だが、アイデンティティの1つにまでは昇華されていないだろう。だってフランス人には、フランス人をフランス人たらしめる象徴はワイン以外にもごろごろあるもの。)


前置きが大変長くなったが、こんなわけで、ジョージアにとってのワインー葡萄畑ーというのは、抜き差しならぬメッセージが隠されている可能性が高い。


「葡萄畑に帰ろう」というのは、おそらく登場人物の個人的な故郷や実家を指すだけではない。


葡萄畑に帰ろうということには、国民的な故郷や国民的原点に帰ろうよという、そういった含意があるのではないか・・・?


これが、タイトルをみて私が直感したことだった。

以上が「観よう♪♪」と思うに至った私の頭の中のぐるぐるである。


ジョージアに行ったこともないし、ネットで漁って得たジョージア知識をつぎはぎして自己の中に統合したジョージア観だけで、よくもまあここまで深読みできるものだよね。


果たして私の読みはただの深読みなのか・・・?


長くなってきたので、レビュー本文は次回!(おい)




The World is Your Oyster

よりエキサイティングな道をゆく。

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